ステンドグラスのある日日(ヒビ)

ステンドグラスのある日日はステキだ!ステンドグラスがもっと身近になることを祈りつつ、ステンドグラスやガラスの未来を明るく楽しく考えるブログ。

「ステンドグラスと相性が良いデザインを探すシリーズ 〜地図〜」の件

ステンドグラス ケイム

ステンドグラスの特徴の一つにケイムという線があります。
デザインの境界線やガラスとガラスの間を鉛や真鍮、ハンダなどの線で表現するものです。
このケイムの使い方でステンドグラスは上品にも野暮ったくもなってしまいます。
止むを得ずガラスのカットが必要なデザインであったり、異なるガラスを使って表現したい場合など、ちょっとケイムが邪魔になる時もあります。
しかしその半面、このケイムをうまく使うことでステンドグラスの魅力をさらに引き出すことができます。

せっかく使うならうまく活かしたデザインはないかな?ということで始めるこの「ステンドグラスと相性が良いデザインを探すシリーズ」
第一弾の今回は「地図」です。
地図がステンドグラスのデザインとしてふさわしいかどうか、検証していきます。

ステンドグラス 地図

世界に境界はないとは言いながら、地図上ではちゃんと線が引かれているので、これを利用するとしっかりした区切りがあるデザインとなります。

しかし一般的な地図をリアルに細かく表現しようとするとそれだけデザインも複雑になり、結局ケイムだけでなくガラスのカットも細かくなってしまうので、それではステンドグラスとしては不向きなデザインになってしまいます。

それにしても改めて地図を見ると国境や境界というのは細かく決められているんですね。
その方が何かと揉め事も起きないんでしょうが、逆にそれで揉めてることも考えると、ちょっと複雑な気もします。

ステンドグラス 地図

それはさておき。

実際のステンドグラス製作でもデザインが細かければ細かいほど手間も時間もかかり、技術的にも難しくなっていきます。
なので、地図に関しては大雑把に、ざっくりとしたデザインの方がステンドグラスに合うのではと思います。
ではどの程度の大雑把さ加減が良いのでしょうか。

まず思いつくのが小学校の時に社会科で使った白地図。
でもよく思い返してみると白地図はある程度の正確性が必要なので、ステンドグラス向けのデザインとしてはまだまだ細かい部分が多いですよね。
例えばリアス海岸とか。
せめて下の写真ぐらいであれば、、、。

ステンドグラス 地図

いや、もうひと超え!
こんな感じ⁉︎

ステンドグラス 地図 大

おぉ、さすがにザックリし過ぎですか、、、。
でもこれはこれでアートなステンドグラスができそうです。

では次に実際に作成された地図デザインのステンドグラスをネットで探してみましょう。

と思って検索したのですが、あれっ、意外に少ない、、、。
地図って誰でも知ってるからモチーフに選ばれやすいと思ったのですが、そうでもないんですね。
そんな数少ない地図のステンドグラスをまとめて見ました。


愛知国際プラザ

ステンドグラス 福岡国際プラザ
写真引用:https://www.tripadvisor.com/LocationPhotoDirectLink-g14127381-d4441300-i72998187-Aichi_Kokusai_Plaza-Naka_Nagoya_Aichi_Prefecture_Tokai_Chubu.html

愛知国際プラザはこの他に図書館入口にも愛知県の県花をモチーフにしたステンドグラスが使われています。

神戸市立博物館

ステンドグラス 神戸市立博物館
写真引用:https://shunjudo.cocolog-nifty.com/blog/2010/03/post-7243.html?optimized=0
喫茶室の入り口にあります。海の青いガラスの濃淡がとてもキレイです。

メリーベーカーエディ図書館

ステンドグラス 地図
写真引用:https://oryouridaisuki.at.webry.info/201603/article_31.html
地球儀の形なのですが、これはその中に入って内側から地球儀を眺めるという変わったスタイル。直径9メートルもあるそうです。

地球儀のランプシェード

ステンドグラス 地球儀
写真引用:https://www.pinterest.dk/pin/848998967239388309/
ティファニースタイルのランプシェードです。実際にどの程度明るさを得られるかは分かりませんが、作品としては半透明のガラスの色使いや地図のデザインもとても柔らかい印象を受けますね。

東海道五十三次

ステンドグラス 東海道五十三次
写真引用:https://pictame2.com/media/BwvYzaHg1I1/
2017年に開催された日本ステンドグラス連盟第1回作品展の中の一点。海の青いガラスの模様が、ちょうど海流を表しているかのようですね。

中学校の卒業制作

ステンドグラス 教室
写真引用:https://www.schoolweb.ne.jp/weblog/index.php?id=2320041&type=1&column_id=73873&category_id=2807&date=20080330
名古屋の中学校の卒業制作の中の一点。教室を表現した中にかわいらしい地図が表現されています。これぐらい小さくても日本地図ってわかるのも良いですね。

群馬県

ステンドグラス 地図
写真引用:https://hana.haro-glass.com/blog/2017/01/20170130113143.html
カラフルなガラスで表現された群馬県。紅葉してるみたいで、とても品よくまとまっています。(ケイムがないじゃないかって⁉︎これは特別な技術だそうです。)

他にはタイのエラワンミュージアムの天井にもステンドグラスの世界地図があるのですが、こちらは写真が用意できませんでした。代わりに紹介されているページをご案内いたします。

ameblo.jp

ということで、地図のステンドグラスを見てきました。
同じ地図というモチーフですが、表現方法は千差万別ですね。

いくつか見てみると、大きく二つに分類できるのではと考えました。
つまり地図をどこまで詳細に表現するかに関して、できるだけ細かく表現するのか、それとも大雑把に表現するのか、という事です。
もし本当に詳細に地図を表現しようとするなら、やはりケイムやガラスのカットを細かくするというよりはガラスに描いてしまった方が手取りが早くて分かりやすいですね。
そして正確性より表現性を取るなら、大雑把でも芸術的なアプローチで「地図である」というより「ステンドグラスである」ことに重きを置いて表現した方が良いでしょう。 その地図の省略の仕方や表現方法こそ、作家さんの想いが出せるところだと思います。

という事で結論!
地図がメインであろうと、ステンドグラスがメインであろうと、「地図はステンドグラスに向いています!」に認定です!。