ステンドグラスのある日日(ヒビ)

ステンドグラスのある日日はステキだ!ステンドグラスがもっと身近になることを祈りつつ、ステンドグラスやガラスの未来を明るく楽しく考えるブログ。

「日本伝統×ステンドグラス 〜浮世絵編〜」

ステンドグラス 浮世絵

日本の伝統的・文化的なデザインとステンドグラスを掛け合わせたらどうなるのかを検証していくシリーズ。
今回は「浮世絵」です。

浮世絵とは、江戸時代初期に成立した絵画様式です。
構図の大胆さや色彩の豊かさと同時に「憂世」から「浮世」へと変わりつつあった時代性、描いたテーマなどによって人気を博しました。
菱川師宣、東洲斎写楽、歌川広重、葛飾北斎など、世界でも有名な絵師が輩出されました。
ゴッホやモネら印象派の画家たちに大きな影響を与え、海外でも評価が高い日本独自の「美術」」様式ーそれが浮世絵です。

そんな日本独自の浮世絵がステンドグラスと交わったらどうなるのか。
場所も時代も超えて和洋折衷を試みた作品たちをご紹介いたします。

ステンドグラス 浮世絵

ステンドグラスとして制作されたゴッホの浮世絵「花魁(おいらん)」

写真引用:https://hakuzou.at.webry.info/201505/article_5.html

銀座花郷さんにあった作品。
渓斎英泉からゴッホへ、そして臼井定一さんへとバトンタッチされたこの「雲龍打掛の花魁」。
ロマンを感じますねぇ。

写楽と歌麿の浮世絵のステンドグラスパネル(2作品)

写真引用:https://akira-fritz.blogspot.com/2013/02/blog-post_17.html

写真引用:https://akira-fritz.blogspot.com/2013/02/blog-post_17.html

浮世絵とステンドグラス、お互いの良さを遺憾無く発揮した作品です。
これぞステンドグラス化のお手本というか教科書ともいうべき作品。
完璧。

透過光美しく50作品 大磯でステンドグラス展

写真引用:https://article.yahoo.co.jp/detail/58d183623701427e3d8351adf9a829472b02af03

なんだか不思議と山が上に伸びる感覚と海のどっしり感を感じます。
構図の妙なのか、ステンドグラスのなせる技か。

ステンドグラス教室:生徒 伊井さんの作品

写真引用:https://www.sanstend.com/student-work/

浮世絵をステンドグラス化する時、比較的忠実に再現しようとする作品が多い中、大胆な色使いになっています。
ステンドグラス教室の生徒さんの作品とのこと。
レベルが高い!

ステンドグラスパネル「雪月花」

写真引用:http://glasscafe-cosmos.cocolog-wbs.com/blog/2012/03/post-8987.html

元々のこの「雪月花」にははかなさや淡さが感じられます。
線の細さや色味からでしょうか。
しかしステンドグラス化することで輪郭がハッキリし、服の色が変わることでこんなにもクッキリと前に出てくるような作品に生まれ変わりました。
猫をハンダで後付けするという工夫も光ります。

富嶽三十六景の神奈川沖浪裏

写真引用:https://you3113.hatenablog.jp/entry/2017/09/24/212656

やはり浮世絵でこの「富嶽三十六景」は外せませんね。
しかもこのステンドグラスの作品は北斎をリスペクトしつつ、自分の個性も入れてもう一段階レベルを上げているように感じられます。
背景となっている外の木もこの作品を盛り上げるのに一役買っていますね。
これは私も欲しい!


ステンドグラス 浮世絵

いかがでしたか?
浮世絵の特徴の一つに「物の輪郭を黒で描く」ということがありますが、この線があるおかげで浮世絵とステンドグラスは親和性が高くなります。
というのも、ステンドグラス化のためにデザインする時に輪郭の線をそのままケイムに利用できるからです。
もちろんケイムを使用せず直接ガラスに描いている場合もありますが、色がベタ塗り(木版画のため)であるという表現方法もステンドグラスと浮世絵を近いものにしています。

こういった海外でも有名な浮世絵の作品たちを改めてステンドグラスでリメイクするのは、とても意味のあることだと思います。
日本はもとより、再び海外で脚光を浴びるなんてことになったら、浮世絵にとってもステンドグラスにとってもステキなことですね。