「ステンドグラスをカバーする」というのは、何も補強や保護のためにガラスを二枚重ねにしたりすることではありません。
今回のこの「カバー」というのは、音楽でいう「楽曲をカバーする」という時の「カバー」のことです。
音楽の世界ではカバーは珍しくないですが、美術の世界では、ないこともないですがあまり聞きません。
ことステンドグラスに限ってみると、トント聞いたことがありません。
カバーと似たような言葉に「コピー」があります。
でも美術の世界でコピーというと、むしろ「コピー商品」という言葉の方が連想されるかもしれません。
コピー商品となると、「勝手にデザインを盗用した」、「質が劣る」、「ニセモノ」など、悪いイメージしかないような気がします。
そもそも音楽で「カバー」するというのはどういう理由があるのでしょうか?
いくつか考えられますが、主なものとして、
・自分のルーツ確認
・楽曲やアーティストへのリスペクト
・その楽曲の作り方や構造を学ぶ
・レコーディング方法など技術を学ぶ
・自分のオリジナリティやアレンジ力をアピール
・過去の名作を現代に蘇らせる
と言ったところでしょうか。
上記の理由なら、同じような効果はステンドグラスでも期待できるのでは⁉︎
レコーディング方法云々はそもそも当てはまらないですね。
過去の名作を現代に蘇らせるというのも、過去の名作が依然として輝きを失わず「過去の名作」として、そしてアンティークとしても存在しているので、これもちょっと当てはまらないかもしれません。
でもそれ以外はステンドグラスにも当てはまるでしょう。
ステンドグラスでカバーを試みる利点としては、やはり音楽と同じだと思います。
そのオリジナルの良いところ(デザインや技術的な部分)を真似することにより、自分のものへと昇華させ、さらなるレベルアップに役立てることができます。
さらによく知られた作品を自分なりにアレンジしたり再構築した発表することにより、自分のアイディアや技術をアピールすることができます。
ここでひとつ提案です。
カバーする題材は何もステンドグラス作品からだけではなく、絵画から選んでも良いのではないでしょうか?
つまり過去の名画をステンドグラスにアレンジしてみるというのもユニークな試みだと思います。
勝手に命名しますが、「名画をステンドグラス化させる」ということで「ステンドグラスコンバージョン」、略して「ステコン」というのはいかがでしょう。
ミュシャの作品がステコンすることは良くありますね。
ミュシャの場合のようにガラスに描くこともできますが、ステンドグラスらしくガラスのカットと色使い、そしてケイムでも表現したいですね。
そういう意味では、いわゆるポップアートのキース・ヘリングやリキテンシュタインはステンドグラス向きの題材だと思います。
さぁステンドグラス作家の皆さん!
「ステコン」して見ませんか?
それにしてもコピー、完コピ、カバー、習作、オマージュ、リスペクト、トリビュート、リメイク、、、いろいろ似たような言葉があるんですねぇ。