ステンドグラスのある日日(ヒビ)

ステンドグラスのある日日はステキだ!ステンドグラスがもっと身近になることを祈りつつ、ステンドグラスやガラスの未来を明るく楽しく考えるブログ。

「ステンドグラスを定義し直そう」の件

ステンドグラス 言葉の定義

多くの方が持つステンドグラスのイメージは、「派手めの色のついたガラスのパーツを組み合わせて人物や花、幾何学的なデザインなどをしたもの」、「古い教会の窓に使われていたもの」、「黒い太めのフチで境界線を表現している」、「お金持ちのお屋敷にありそう」、「大きくて荘厳」といったところでしょうか。

しかし必ずしも大きな窓に使われるものだけがステンドグラスではないのです。
現代では公共施設などに単体で大きな芸術作品としてのステンドグラスもありますし、はたまたサンキャッチャーやピアス、写真立てや結婚式のウエルカムボードのような小物なども多く作られており、大きなものから小さなものまでステンドグラスの活躍の場はどんどん広がっています。

ではステンドグラスを言葉で定義するとどうなるのでしょうか。
広辞苑では「色ガラスを使ったり色を塗ったりして、模様や絵を表した板ガラス。教会堂などの窓ガラスに用いる。着色ガラス」と表現されています。
大辞林では「色ガラスを組み合わせて、いろいろな模様・画像などを描き出したガラス板。ゴシック様式の特徴の1つで、10世紀以降教会の窓などに用いられてきた」とあります。
Wikipediaでは「エ字形の断面を持つ鉛のリムを用いて着色ガラスの小片を結合し、絵や模様を表現したもの」となっていました。

確かにどれもその通りなのですが、ステンドグラスのすべてを表現し尽くせているかというと、どこか抜け落ちている部分がありそうな気がするのです。
というのも現代においてステンドグラスは、普段あまり関わりのない方にとっては想像以上にどんどん派生しているからです。

ステンドグラス 言葉の定義

そもそもステンドグラスは大きく2種類に分けられます。
ひとつは一般的に思い出されるような、ガラスをパーツとして使い、黒い輪郭で区切られたデザインのステンドグラス。
そしてもうひとつは一枚もしくは複数枚のガラスに直接絵付するタイプです。

先ほどの3種類の言葉の定義を見ると、主に昔ながらの芸術性の高い作品向けの表現です。
しかし現代のステンドグラスはもっと進化・深化しており、ランプシェードやテラリウム向けなど、立体的であり、かつ、より実用的でもある作品も作られています。
さらに平面作品でも鉛製のケイムではなく、銅製のコッパーフォイルを用いる作品もあります。

こうなってくると、ひとおもいにガラスを使った制作物は全てステンドグラスと読んでも良いのではないかとすら思います。
ただそれでは大雑把すぎるのでもう少し定義して行きたいと思います。

素材編

・ガラスを2枚(2点)以上使用している
・ガラスを1枚(1点)以上+別素材を組み合わせている
・ガラスに加工や装飾がしてある

使用目的編

・装飾目的のある観賞用、建具用の製作物であり、その目的に沿った実用性、耐久性がある
・日常的に人や飲食物に直接触れていない
・使用目的に沿ったガラスの透過性が確保されている

構造編

・ガラス同士、またはガラスと使用されている素材が、ガラス以外の素材で固定されている
・平面制作物の場合、外枠以外を線で区切りを入れた構造になっている
・デザインが固定されており、変化しない
・ガラス部分がその制作物の70%以上の割合を占めている
・表面に破損につながるようなヒビや傷がない

例えば上記の各項目から一つ以上条件を満たすものをステンドグラスとして認める、、、とか。
でもここまでくると、逆に言葉に縛られている気がしますね。


ステンドグラス 言葉の定義

ちょっと方向性を変えて、例えばステンドグラスが生み出す効果や、時代考証、「物」としての状況などから定義をしてみたいと思います。

・主にガラスを用い、光の力をさらに増幅する仕掛け
・ガラスの透過性を生かした制作物
・古い建物の建築設備にはステンドグラスを、現代の建物の建築設備にはガラスアートを適用
・19××年以前のガラス作品はステンドグラス、それ以降はガラスアートとする
・使用するガラスの異なる三辺の長さの合計が○○cm以上の作品はステンドグラスとし、それ以下の作品はガラスアートとする
・実用性<芸術性のガラス作品(実用性の中で機能性を追求しようとするのではなく、実用性に芸術性をプラスした作品)
・ガラスを通して人の感性と自然の営みが作り出す、「瞬間」の制作物


考えれば考えるほど、ややこしくなりますね。
どれもステンドグラスのすべてを表現し尽しているとは言い難いですね。

うーん、今回はこの辺で止めておきます。
また、考えます、、、。